OpenFOAM の各種ライブラリのソースコードは,src ディレクトリ に設置されています.例えば,2015年のオープン CAE シンポジウムの講習会で取り上げた境界条件のライブラリ libfiniteVolume のソースコードは,src/finiteVolume/ 以下に設置されています.第1回目の今回は,以下の4つのディレクトリを取り上げます.
fvOptions |
既存のソルバーのソースコードを直接編集することなく支配方程式にソース項(ポーラスメディアの抵抗ソースや熱交換器の体積熱ソースなど)を追加するなどのカスタマイズを行うことができる fvOptions 機能のライブラリ libfvOptions のソースコードが設置されています.各ソルバーが fvOptions 機能に対応しているかどうかは,ソルバーのソースコードで確認できます.下記は,simpleFoam の例です.
32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 |
#include "fvCFD.H" #include "singlePhaseTransportModel.H" #include "turbulentTransportModel.H" #include "simpleControl.H" #include "fvOptions.H" // * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * // int main(int argc, char *argv[]) { #include "setRootCase.H" #include "createTime.H" #include "createMesh.H" simpleControl simple(mesh); #include "createFields.H" #include "createMRF.H" #include "createFvOptions.H" #include "initContinuityErrs.H" |
fvOptions で使用可能なタイプのリストを,こちらのページにまとめています.
renumber
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セル番号の付け替え(Ordering)を行うための手法(Cuthill-McKee,Sloan アルゴリズムなど)のソースコードが設置されています.renumberMesh ユーティリティは,このライブラリ librenumberMethods を使用して,セル番号の付け替えにより係数行列のバンド幅を小さくすることで,連立方程式の反復解法の計算時間の短縮化を図ります.デフォルトの手法である Cuthill-McKee 以外の手法を使用するためには,設定ファイルを用意し,実行時に -dict オプションでそのパスを指定します.
- CuthillMcKee: デフォルトの手法
- Sloan: boost C++ ライブラリの Sloan アルゴリズムを使用
- manual
- random
- spring
- structured
最初の2つの手法は,特別なパラメータ等のコントロールなしに使用することができます.それぞれ,バンド幅を小さくするのか,profile を小さくするのか等の特徴があります.
dynamicFvMesh |
OpenFOAM では,メッシュの移動変形機能を Dynamic Mesh という名前で呼んでいます.並進・回転などの剛体運動,1次元方向の伸び縮み運動など,トポロジー変化を伴わないメッシュの移動変形のライブラリのソースコードが設置されています.次のスライドで詳しく説明しています.
[slideshare id=31811977&doc=openfoamdynamicmesh20140302-140302022414-phpapp01&w=500]
topoChangerFvMesh |
トポロジー変化を伴うメッシュの移動変形のライブラリのソースコードが設置されています.
上記のリンクのように,OpenFOAM のリリースノートには,新機能や機能変更に関して比較的詳しい説明が記載されています.自分が使用しているバージョンに対応する情報を収集するためにも,良くチェックするようにしたいですね.
その2に続きます.